肺の病気を知る診断

Q

治療までにはどんな検査を受ける必要がありますか?

患者さんの状態にあった治療方針を決定するまでには、様々な検査を行う必要があります。

画像検査

主に病気の性質や広がり具合(ステージ)を調べるために行います。CT、PET-CT、MRI、骨シンチ検査などがあります。

病理検査

病変の良性・悪性の決定や治療薬など治療方法の選択に重要です。肺がんの主な分類は、腺癌・扁平上皮癌・小細胞癌と大細胞型神経内分泌癌・大細胞癌・カルチノイドなどです。それぞれの特性にあわせた治療方針があります。がん細胞の遺伝子の異常を調べる検査や、免疫療法を行うかどうかの指標となるPD-L1というタンパク質の検査も病理検査で行われます。

生理検査

病変の良性・悪性の決定に重要です。最近では治療薬など、治療方法の選択に強く影響します。

呼吸機能検査・心機能検査などがあります。治療の負担にどれだけ耐えられるか推定する根拠になります。

腫瘍マーカー(血液検査)

病気の勢いや再発の兆候を調べるためなどに行われます。

術中迅速病理診断

手術前までに、良性か悪性か決定できなかった場合、手術の最中に腫瘍の一部を採取して短時間で病理診断し、そのまま手術を行うかやめるか決めることもあります。

Q

ステージ(病期)とは、どのようなものですか?

肺がんでは、病気の危険度を示すために、その広がりにより大きく5段階(0,Ⅰ, Ⅱ, Ⅲ, Ⅳ)に、細かくは12段階のステージに分類します。肺ではそれに対応して治療法が選択されます。

病気の広がりの程度は

  1. 腫瘍の大きさなど腫瘍が発生した場所での進展の程度(Tで表示)
  2. 肺からリンパ節に広がっているかどうか(Nで表示)
  3. さらに肺から脳や骨などの他の臓器に広がっているかどうか(Mで表示)

により決定されます。

T,N,M各々の規定は大まかに次のようにまとめることが出来ます。肺のステージ分類は大変複雑なので、簡略化しています。

肺がんの病期(ステージ)分類はこちらをご覧ください。

M0 M1a,M1b M1c
T N0 N1 N2 N3 ⅣA ⅣB
Tis 0 - - -
T1mi ⅠA1 ⅡB ⅢA ⅢB
T1a ⅠA1 ⅡB ⅢA ⅢB
T1b ⅠA2 ⅡB ⅢA ⅢB
T1c ⅠA3 ⅡB ⅢA ⅢB
T2a ⅠB ⅡB ⅢA ⅢB
T2b ⅡA ⅡB ⅢA ⅢB
T3 ⅡB ⅢA ⅢB ⅢC
T4 ⅢA ⅢA ⅢB ⅢC

肺がん取扱い規約(第8版)より

  • Tis リンパ節や他臓器へ進展する危険性がないがん
  • T1 大きさが3cmを超えないもの。大きさによりT1mi≦0.5cm<T1a≦1cm<T1b≦2cm<T1c≦3cmに亜分類される。
  • T2 大きさが5cm以下の腫瘍で、次の条件のいずれかに当てはまるもの;『3cmより大きい』、『気管支の太い部分へ進展』、『肺門部から生じる閉塞性肺炎』 サイズにより亜分類される T2a≦4cm<T2b≦5cm
  • T3 大きさが7cm以下の腫瘍で、次の条件のいずれかに当てはまるもの;『5cmより大きい』、『胸壁へ進展』、『腫瘍と同じ肺葉に転移』、『心嚢膜に進展』
  • T4 7cmより大きいか、あるいは縦隔・心臓・気管分岐部など通常の手術では切除しきれないところまで進展しているもの。
  • N0 リンパ節への進展がない。
  • N1 肺葉切除と同時にとれる近くのリンパ節までの進展。
  • N2 手術中に特別に切除しないと取り切れない、やや遠い縦隔リンパ節までの進展。
  • N3 手術では取り切れないリンパ節への進展。
  • M1a 他の臓器と見なされる胸水・胸膜・反対側の肺への進展。
  • M1bとM1c 肺以外の臓器へ進展。

M1a-cは手術の対象にはなりません。TやNに関わらずステージは、M1a, M1bであればIVA、M1cならIVBです。


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