将来こどもを望む方へ

子どもを望む患者さんは気兼ねなく主治医やがん相談支援センターに相談してね。

Q

将来、妊娠・出産を希望していますが、病気や治療の影響はありますか?

何よりもまず病気を乗り切ることが最大のゴールですが、妊娠・出産に関する将来の不安も抱えられると思います。
病気の種類や治療の内容によっては、子宮、卵巣や精巣を摘出しないといけない事もあります。また、抗がん剤の影響で卵巣や精巣の機能が落ちてしまい、将来子供を持つ事が困難になる場合があります

Q

将来の妊娠・出産のための対策はどのような方法がありますか?

治療を開始する前に、対策として行えることには以下のことがあります。

  1. 配偶子(卵子、精子)の凍結保存
  2. 胚(受精卵)の凍結保存
  3. 性腺(卵巣および精巣)の凍結保存

ほかにも子宮や卵巣の温存治療や、骨盤放射線照射に対する卵巣位置移動手術(放射線があたらないようにする)などが挙げられます。
がんの種類、がんの進行の程度、選択される治療方法、治療の開始時期、現在の年齢、配偶者の有無などから、最も適した方法を選択します。

Q

愛媛県では子供を望む患者さんのためにどんな取り組みがありますか?

EON

2018年春より、愛媛県内におけるがん診療病院と高度生殖補助医療実施施設が連携する『愛媛県がん・生殖医療ネットワーク』が始まりました。

この診療ネットワークでは、がん治療を実施する病院と、高度生殖補助医療実施施設(体外受精や卵子や精子、受精卵の凍結保存を行っている病院)が共に連携して患者さんの治療を行えるように協力しています。
愛媛県では、『愛媛県がん・生殖医療ネットワーク 』 における連携のもと、将来子どもを産み育てることを望む小児・AYA世代(43歳未満)の患者さんが希望をもって治療に取り組めるよう、妊孕性温存療法及び温存後生殖補助医療に要した費用の一部を助成し、経済的負担の軽減を図るとともに、臨床データ等に基づく有効性・安全性の高い妊孕性温存療法及び温存後生殖補助医療の普及を図る「愛媛県小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業」を実施しています。

『愛媛県がん・生殖医療ネットワーク』についてはまず主治医にご相談ください。

各病院の取り組み

四国がんセンター

現在、妊孕性温存のための専門チームはありませんが、男女を問わず各科で患者さんに子どもをもつ希望について確認し、妊孕性温存療法を説明の上、相談しながら治療を進めます。

婦人科腫瘍では初期子宮がんのレーザー蒸散、円錐手術、MPA療法などに豊富な経験があります。

精巣や乳房、血液の腫瘍などで毎年5人以上の患者さんが連携する産婦人科で卵巣や精子凍結を行っています。

必要があれば、その他の温存療法が実施可能な病院をご紹介しています。患者さんが納得のいく意思決定を行えるよう、できるだけの支援を行います。

愛媛大学医学部附属病院

当院では、各科において妊孕性温存療法の選択肢を説明し、最善と考えられる治療を提供しています。将来に子供をもてるという希望を最大限叶えられるよう、支援を行っています。

2018年春より、愛媛大学産婦人科が中心となり、愛媛県内におけるがん診療病院と高度生殖補助医療実施施設との診療ネットワークを開始しました。

当院において、愛媛県の該当患者さんの相談窓口を開設し、カウンセリング及び妊孕性、生殖機能温存方法の提案、精子や受精卵の凍結保存を行っています。

愛媛県立中央病院

各診療科別に対応しているのが現状です。小児科、血液内科では特に若年で造血幹細胞移植となる患者では必ず説明しています。

小児科石田医師は「小児、思春期若年がん患者の妊孕性温存に関するガイドライン2017年版」の作成メンバーであり、それに準じて対応しています。院内での実施は不可能で、専門施設に紹介しています。

松山赤十字病院

当院では、各診療科の医師・看護師とがん相談支援センターが連携して、妊孕性に関する情報提供をタイムリーに行い、患者さん・ご家族の気がかりや大切にしたいことを伺いながら、治療の選択ができるようなお手伝いをさせていただきます。

当院には凍結保存設備はありませんが、妊孕性温存療法を希望された患者さんには、愛媛県がん・生殖医療ネットワークを通じてスムーズに連携紹介を行い、患者さんが安心してがん治療に進めることを支援しています。また、がんの治療や生活をしていく中で、悩んだとき、困ったときは、がん相談支援センターにお寄りください。一緒によりよい方法を話し合いながら探していきましょう。

済生会松山病院

相談の受け入れ可能ですが、当院では妊孕性温存療法に対応しておりませんので、適宜、処置等対応のできる病院へ紹介いたします。

済生会今治病院

当院は産婦人科がなく妊孕性の温存療法には対応困難です。専門性の高い病院を探すお手伝いなら可能です。

住友別子病院

当院では、妊孕性温存については、卵子については、婦人科が、精子については、泌尿器科が対応しております。

当院には、凍結保存できる設備が無いため、他施設に紹介して凍結保存をお願いしています。

若年者でがんになられた方で、抗がん剤の投与や放射線治療が必要な場合、治療後に卵子や精子が減少する事が想定されるため、将来妊娠の可能性が無くならない様に、治療する前に説明を行い、卵子や精子を保存する御希望があるか確認します。

希望される方には、他施設に紹介して妊孕性温存を行います。

四国中央病院

産婦人科学会では、がん治療患者の妊孕性温存につき女性ヘルスケア委員会に小委員会を設置してマニュアルを作成しています。

当院の鎌田はその委員を務めていますので、妊孕性温存についての相談、実施は鎌田を中心に産婦人科が担当いたします。

胚、卵子および卵巣凍結保存、精子凍結保存については徳島大学などの連携施設で可能で、乳がん症例を1例紹介した実績があります。子宮頸がんの妊孕性温存手術である広汎性子宮頸部摘出術も実施可能で、生児を1例得ています。

済生会西条病院

当院は産婦人科がないため必要な場合は対応できる病院へ紹介いたします。

十全総合病院

当院では妊孕性温存療法はおこなっておりません。 必要を認めた場合は他施設へ紹介をしています。

愛媛労災病院

若年性の乳がんが増加している中、がんと診断され治療がはじまる前に妊孕性温存について、正確な情報提供をおこない、相談ができる病院でありたいと思います。

まだ、担当部門はありませんが、産婦人科・泌尿器科医師・がん化学療法看護認定看護師が協力し、患者さまの要望に対応していきます。必要時、他施設と密に連携していきます。

市立宇和島病院

がん治療後の妊孕性に関しては、治療法による影響(手術・抗がん剤・放射線)が考えられますので、治療担当医にお尋ねください。

当院では妊孕性温存については特別な部署は設けていませんが、患者様のお力添えができる様努めてまいります。

配偶子・胚・生殖腺凍結保存は当院では施行していません。凍結保存のご希望がある場合は、実施施設紹介をさせていただきます。

市立八幡浜総合病院

当院では現時点において妊孕性温存に専門的に関わる部門はありません。

妊孕性温存が望ましい場合には随時専門科(泌尿器科・産婦人科)に相談し、必要な際には専門施設への紹介を行います。当院泌尿器科においては、精巣がんの化学療法や広範囲後腹膜リンパ節郭清の術前には精子凍結保存に関して専門施設への紹介を行います。

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