肝がんの診断はどのようにするのですか?
はじめに問診、超音波検査が行われます。肝臓内でのがんの広がりや遠くの臓器への広がりを見るためにMRI、CT検査を追加し、腫瘍マーカーなどと合わせて、総合的に判断します。画像検査などで判断が難しい場合には組織診を行います。診断が確定後、総合的にステージ(病期)を決定します。
1.超音波(エコー)検査
体の表面にあてた器具から超音波を出し、臓器で反射した超音波の様子を画像にして観察する検査です。患者さんの体の状態や部位によっては見えにくい場合もあります。造影剤を使用することがあります。
2.腫瘍マーカー
腫瘍マーカーは血液を使って行う検査です。体のどこかにがんが潜んでいるかの目安になります。肝がんではAFPやPIVKA-II、AFP-L3分画と呼ばれるマーカーがあります。診断には2種類以上のマーカーの測定が推奨されています。ただし、がんがあってもマーカーがすべて陰性の場合や、逆にないにもかかわらず肝炎・肝硬変などで陽性になることもあります。肝がんの確定には、腫瘍マーカーだけではなく、画像診断が必要です。
3.CT検査、MRI検査
がんの性質や分布、転移や周囲の臓器への広がりを調べます。詳細に調べるためには、造影剤が必要です。
4.血管造影検査
足の付け根の動脈から細い管(カテーテル)を差し込んで、肝臓や腸管の動脈に造影剤を入れ、血管や病巣の状態を調べます。血管造影は検査だけで行うことは少なく、後述する治療(塞栓療法、動注療法)を同時に行うことが一般的です。
5.PET-CT検査
悪性度評価や肝臓以外の臓器へ広がっているかを調べるのに役立ちます。肝臓内にあるがんの大きさや数を調べるのには適していません。
6.エコーガイド下肝腫瘍生検
エコーの画像を見ながら、体の外から針を刺し、腫瘤の一部を採取します。生検針は特殊な針を使用しますが、太さは採血針と同じです。局所麻酔で行います。画像検査だけでは診断が難しい場合に行います。
ステージ(病期)はどのように決まりますか?
肝がんのステージ(病期)は、がんの大きさ、個数、脈管浸潤、転移があるかによって分類されます。
T分類 | ①腫瘍が1個に限られる(単発である) ②腫瘍の大きさが2cm以内である ③脈管(門脈、肝静脈、肝内胆管)に広がっていない |
T1 | T2 | T3 | T4 |
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①②③全て合致 | 2項目合致 | 1項目合致 | 全て合致せず | ||
ステージ | リンパ節・遠隔臓器に転移がない | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | ⅣA |
リンパ節転移はあるが、遠隔転移はない | ⅣA | ||||
遠隔転移がある | ⅣB |
(臨床・病理原発性肝癌取扱い規約第6版より作成)