感染症対策について

感染症の予防について知っておいてほしいこと

多くの患者さんにとって、感染症の危険性は一般の方と大きく変わりがありませんが病状あるいは治療によっては免疫力が低下し、各種感染性に罹りやすくなることが知られています。免疫力が低下した状態で感染症にかかると重症化しやすく、時には感染症のため治療を続けることができなくなるケースもあります。主治医とよく相談して自身に必要な対策をおこないましょう。

感染症対策については、普段から気をつけたい日常生活の基本対策と、治療を行う時に注意すべき対策があります。ご自身の治療状況に合わせた感染症対策を行ってください。

日常生活の基本対策

手をきれいに保ちましょう

手を清潔に保つことは日常の感染対策として最も大切です。適切なタイミングで手洗いを行うことで菌の付着を防止し感染症を予防することができます。
流水と石鹸を用いた手洗いに加え、速乾式アルコール手指消毒剤を用いことも有効です。

外出時の対応

外出する際にはマスク装着と帰宅時の手洗いを行うよう心がけましょう。発熱・咳など、かぜの症状がある人との接触はできるだけ避けた方がよいでしょう。

治療時の対策の基本

治療を受ける時には上記の日常生活の基本対策に加え、治療各段階での対策を行う必要があります。治療前、治療中、治療後の一般的な感染症の注意について記載しておきます。患者さんの状態で異なる可能性がありますので、主治医と予め相談しておくと良いでしょう。

治療前

治療の時にかかりやすい感染症の中には、予防接種を行うことで感染リスクを減らすことができるものがあります。また流行性ウイルス感染症の予防策として流行時期に合わせた予防接種が有効です(ワクチンの種類については治療開始前に接種が望ましいワクチン項を参照してください)。主治医と相談し、効果的な予防接種を治療開始前に実施しておくようにしましょう。
ただし予防接種によって接種部位のリンパ節が一時的に腫大することがあり、画像検査でがんのリンパ節転移と区別しにくい場合があります。画像検査を予定されている場合予防接種日と離すよう注意しましょう。

治療中

感染症は化学療法中の免疫力が低下した時期に発生する場合が多く、特に白血球数が一定以下に減少する化学療法の場合、早期に抗菌薬治療を開始しなければならないことがあります。一方、化学療法には、感染症ではなくとも、治療による発熱がおこりうることが知られているものがあります。それらの区別や発熱の際どうするかに関して、主治医から事前に指示があるので、その指示に従って対応してください。一般に治療中は免疫力が低下しやすいので、基本対策をしっかり心がけましょう。
外科治療直後や放射線治療中についても同様です。同じく事前に主治医と話し合っておきましょう。

治療後

治療が終了し、経過観察する時期は、体の免疫力も回復しており日常生活の対策だけで十分な方がほとんどです。ただし、治療終了後も感染症へのかかりやすさに影響する治療もあるのでその場合は主治医からどういう点に気をつけるとよいか聞いて整理しておきましょう。

予防接種

新型コロナウイルス感染症や季節性インフルエンザに対する予防接種は一定の予防効果と重症化抑制効果が期待できます。シーズンごとの自治体からのお知らせを参考に、なるべく接種を行いましょう。
ご家族の方も予防接種をうけることで、家族間の感染を防ぐことにつながります。
一方、臓器移植や血液がんの高度免疫抑制治療など特殊な治療を受けた場合、予防接種を行なっても免疫がつかない時期が一定期間あります。このような治療を受けている場合の予防接種時期については主治医と相談の上、決定しましょう

治療開始前に接種が望ましいワクチンについて

受けた方が望ましいとされるワクチンには下記のものがあります。

  • 帯状疱疹ワクチン(リコンビナントワクチンを推奨。生ワクチンは避けてください)
  • 肺炎球菌ワクチン(23価莢膜型ワクチン、あるいは20価結合型ワクチンいずれも有効)
  • 新型コロナウイルスワクチン(シーズンごと)
  • インフルエンザワクチン(シーズンごと)
  • RSワクチン(高齢の方や慢性呼吸器疾患で治療中の方に)

ワクチンの種類によっては自治体の補助が受けられる場合があります。ご自身の住所の自治体のホームページやお問い合わせ窓口でご確認ください。

Q

がん治療中に生もの(お刺身、生野菜、フルーツなど熱を通していないもの)は食べて良いですか?

国内で市販されているものであれば普段と同じ食事をしてもらって問題ありません。ただし食材は新鮮なものを購入するようにし、消費期限があるものは期限中に食べるようにしましょう。

Q

がん治療中に温泉やサウナに行って大丈夫ですか? 旅行しても大丈夫ですか?

体調に問題なければ治療中でも通常通りの日常生活を送っていただけます。温泉やサウナについても制限はありません。旅行についても制限ありませんが、流行性感染症の流行している時期は可能な限り避け、旅行中は感染予防に努めましょう。

Q

がん治療中に野球観戦などの多人数の集まるイベントに行っても良いでしょうか?

新型コロナウイルス感染症が5類感染症となり、野球観戦やサッカー、コンサートなど人が集まるイベントについての参加制限はなくなりました。ただし多くの人が集まる場では新型コロナウイルス感染症をはじめとする流行性ウイルス感染にかかるリスクが高くなるため、できる限りの感染予防に努めましょう。

Q

農作業や、ペットを飼うことにはリスクはないでしょうか?

農作業には非定型抗酸菌症やいろんな作業中の感染症のリスクがたしかにありますが、通常は特に制限されません。ただし病気の状態によっては避けることが望ましい作業もあるので、事前に担当医師とよく相談してください。病原微生物をもつマダニに咬まれると感染症を起こすことがあります。山や草むらでの作業時には長袖の服を着るなどマダニに咬まれない工夫をしましょう。
ペットとの暮らしは差し支えありませんが、お世話をする前後には必ず手を洗うようにしましょう。また口移しで物を食べさせる行為は思わぬ感染症を起こすため避けるようにしてください。

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