遺伝性腫瘍について

Q

遺伝性腫瘍ってなんですか?

遺伝性腫瘍(症候群)とは、「がんになりやすい体質」のことで、生まれつき特定の遺伝子に変化を持っていることが原因です。
決して珍しい体質ではありません。
体質を変えることはできませんが、どの遺伝子に変化があるか分かれば発症しやすいがんの種類がある程度推測できるため、その体質にあわせた対策を取り、がんの予防・早期発見を目指すことが勧められます。
また、血の繋がった方は同じ体質の可能性があるため、血縁者も一緒に対策を考えます。

たくさんの遺伝性腫瘍症候群が知られていますが、有名なものには次のようなものがあります。

遺伝性乳癌卵巣癌

BRCA1またはBRCA2遺伝子に生まれつき変化をもつことが原因で、乳がんや卵巣がん、前立腺がんや膵がんを発症しやすい体質のことです。約400人に一人がこの体質と考えられています。特別な乳がん検診やリスク低減手術(乳がんや卵巣がんを発症する前に乳房や卵巣を切除すること)が勧められており、一部の方はこれらの対策が保険診療で受けられます。

リンチ症候群

ミスマッチ修復遺伝子( MLH1、MSH2、MSH6、PMS2、EPCAM )に生まれつき変化をもつことが原因で、大腸がんや子宮体がんをはじめとした、さまざまながんを発症しやすい体質のことです。色々な報告がありますが、日本人では約200人に一人がこの体質と言われており、おもに大腸内視鏡検査による対策が勧められます。

家族性大腸腺腫症(FAP)

APC遺伝子に生まれつき変化をもつことが原因で、若い時から大腸に多くのポリープができる体質です。ポリープは高率にがん化し、何も対策をとらないと60歳代にはほぼ100%の方が大腸がんを発症するといわれています。日本では約17,400人に1人がこの体質と考えられています。
若いうちから内視鏡検査を繰り返し大腸ポリープを徹底的に摘除していく、もしくは大腸がん発症前に大腸を切除するなどの対策が勧められます。

Q

どこで相談できますか?

家族歴や遺伝子診断に基づいて、遺伝的要素について相談にあたる部署があります。次のような方は、ご相談ください。

  • 血縁者にがんが多い(特に大腸がん、乳がん など)
  • 何度もいろんながんができる
  • 若くしてがんができる

愛媛県内で遺伝性腫瘍について相談できるところ

  • 四国がんセンター 遺伝性がん診療科(家族性腫瘍相談室)
  • 愛媛大学附属病院 臨床遺伝外来

相談は十分に時間をかけてお話を伺うため、完全予約制です。まずは各病院の「がん相談支援センター」でご相談ください。

Q

どんなことを相談できますか?

がんは遺伝子の変異によって起こる病気です。がんそのものは、親から子に遺伝するものではありませんが、がんに罹りやすい体質は遺伝することがあります。遺伝性ではなくても、家系内に患者さんが複数いることは珍しいことではありません。そのため医療関係者であっても遺伝性腫瘍であるかどうか判断することは簡単ではありません。遺伝性腫瘍に関する専門知識をもった医師や医療スタッフが医学的な観点より遺伝性かどうか判断します。遺伝性と判明した場合には、本人や家族へのアドバイス、気持ちへのサポートや、がんになるリスクを軽減するための検査や予防法の提案などを行います。

Q

遺伝性腫瘍の相談はどんなスタッフが担当するのでしょうか?

専門の知識を持った臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラー®が担当します。

  • 臨床遺伝専門医
    遺伝が関係する病気の診断や治療、予防などに関して、専門的な知識を持っている医師。
  • 認定遺伝カウンセラー®
    遺伝に関する医学的な情報提供や心理的・社会的なサポートをする専門職。

遺伝疾患相談

遺伝カウンセラーとがんに関する遺伝疾患相談をできるかどうかは下記をご覧ください。

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