このページでは、治療のための病院選びの材料となるデータ類を紹介しています。
市町実施のがん検診を受けて詳しい検査が必要とされた方
データでみる肝がん
以下のデータは愛媛県のがん診療連携拠点病院(7施設)・推進病院(8施設)の院内がん登録を独自に集計したもの、他県の情報は国立がん研究センターで集計されたもの(院内がん登録全国集計)を元にしています。
同じ人が二つのがんにかかっていたら2件登録されたり、複数の病院にかかるとそれぞれ登録されるため『1件が一人』というわけではありませんが、このサイトでは便宜的に1件を一人と標記しています。
みきゃんせんせいの わん
ポイント
院内がん登録は、各病院が診療したがんについて、主に初回診療時の情報を記録したものだよ。がん診療の中身を調べたり病院を比較したりするのに役立つんだ。
愛媛県の肝がん患者さんの9割以上が登録されているので、このデータはとても参考になるよ。
患者数(愛媛県 拠点病院・推進病院)
一年間(2022年)に何人の患者さんが、この病気で、その病院をはじめて受診したかをグラフや表で示しています。
- 患者数の合計は右端に示しています。
- その病院を受診した患者さんは、どこに住んでいる人が多いのかがわかるように二次医療圏別に棒グラフの中で色を変えています。(中予地方にある病院は、松山圏域に住んでいる患者さんを多くみていますが、他の圏域に住んでいる患者さんも中予地方にある病院を受診していることがわかります)
病院ごとのステージ(病期)別初診患者数(2020~2022年の合計)
その病院を受診した患者さんはどのステージの人が何人なのかを数字で表しています。その病院では診断までしか行っていない患者さんも含まれています。
初診時には比較的進行していないステージⅠ, Ⅱの症例が半数強ですが、状態に合わせて様々な治療法があるため転院時には初発時のステージがすでに把握できない場合(不明など)も多く(1割強)なります。
愛媛県外の病院の患者数
近県および全国のがん診療連携拠点病院の2022年の肝がん患者数です。セカンドオピニオンにいく時などの参考になさってください。
スタッフ
専門医
各病院の専門医の人数はこちらをご覧ください。
- 日本IVR学会専門医:
X線やCT、超音波などの画像診断装置で体の中を見ながら、カテーテルや針を体の中に入れて、病気の治療を行う専門医です。
メディカルスタッフの体制
各病院のメディカルスタッフの体制はこちらをご覧ください。
- がん看護専門看護師:
日本看護協会により、がん患者と家族に対して専門的な視点でより水準の高い看護を提供出来ると認定された看護師です。 - 認定看護師:
日本看護協会が特定の分野に対して高度な役割を果たすことが出来ると認定した看護師です。 - がん専門薬剤師:
日本医療薬学会ががんの薬物療法等において医療現場で活躍しうる人材と認定したがん専門の薬剤師です。
診療体制
診断機器
各病院の主な診断体制はこちらをご覧ください。
放射線治療機器
各病院の主な放射線治療機器はこちらをご覧ください。
治療体制
各病院の主な治療体制はこちらをご覧ください。
生活・療養の支援体制
栄養指導
術後の栄養指導体制はこちらをご覧ください。
各病院の就労支援体制
下記のページをご覧ください。
各病院の取り組み
四国がんセンター
肝臓にできる「がん」には肝細胞がんを初めとして肝内胆管がん、転移性肝がん、良性腫瘍など様々なものがあります。
当院では内科、外科、放射線科、病理診断科と連携し、肝腫瘍の診断および治療を行っています。最近、肝細胞がんに対して保険診療で使用できる薬の種類が増えてきました。免疫チェックポイント阻害薬などでは気をつけないといけない副作用も増えています。当院ではカンファレンスで薬の適応をよく相談し、薬剤師、看護師と協力して安全な薬物療法を心がけています。また合併症を抱える高齢者や肝機能が低下した慢性肝疾患のため標準的な治療が難しい場合に放射線治療も選択肢としています。
また肝臓にできる「がん」のなかでも肝内胆管がんは、遺伝子の異常を調べることにより薬の選択肢が拡がっています。当院ではがんゲノム診療科と協力し遺伝子異常の検査を行い、治療や治験の参加に役立てています。
愛媛大学医学部附属病院
愛媛大学医学部附属病院では県内随一の多数の肝臓専門医、超音波専門医、カテーテル治療専門医などが所属し毎年多くの肝がん患者さんの診断・治療にあたっています。
早期肝がんに対するラジオ波治療は国内で3番目に開始されすでに充分な実績があります。
進行がんに対してはカテーテル治療に加え近年分子標的治療薬の進歩により当院でも多数の患者さんが内服治療を受けていますが、当院では副作用での中断の多い本治療に対し薬剤師、看護師、社会福祉士などの多職種が地域の医療機関とチームを組み治療を行なっています。
外科領域では県内で唯一の肝移植可能な施設であります。診療科を超え地域医療機関と連携しながらチーム医療を全県下で進められる特徴があります。
愛媛県立中央病院
消化器内科、消化器外科、放射線科が合同で肝腫瘍カンファレンスを週一回実施し、ガイドラインに沿った治療を行うとともに、手術、ラジオ波治療、カテーテル治療、分子標的薬治療のメリット、デメリットを考慮しつつ、患者さんの腫瘍の進行度、肝臓の予備力、腫瘍の悪性度にあわせた治療選択を心がけています。
近年のメディアにあるような治療方法別の症例数を競うようなことは行わず、最も治療効果が期待できると考えられる治療を協力しつつチーム医療として提供をしています。
また、より良い治療を選択するために、これまでの治療経験をチームで共有し、定期的に治療症例のデータ解析に取り組んでいます。
松山赤十字病院
肝がんの治療法は局所療法(肝切除、ラジオ波焼灼術(RFA)、放射線治療など)と、免疫チェックポイント阻害剤を主体とした全身化学療法に大別されます。治療選択は、患者さんの身体状況/腫瘍の大きさ/個数/発生部位で決まりますが、内科/外科/放射線科の各科で協力して治療にあたっています。
まず、患者さんの重症度をみて外来ではなるべく早期の診断を心掛けており、また肝細胞癌の原因の多数を占める脂肪肝の非侵襲的評価を外来で積極的に行い、肝硬変に近い発がんの危険性の高い方の定期的な画像検査を行っております。
早期の状態では可能な限り低侵襲な治療をするようにしており、特にRFAに関しては全国レベルの豊富な経験数があり、肝切除は肝臓の内視鏡技術認定医のもとで腹腔鏡下肝切除をおこなっております。全身化学療法も多くの患者さんで導入しておりますが、必要があれば局所療法を併せた集学的治療も行います。
現在高齢化する肝がんの患者さんは、様々な背景を有しており、患者さんの生活の質も考慮して、各科で協力して、患者さんに十分説明してご理解を頂いた上で、最適な治療方針を決定します。
松山市民病院
肝がんの治療には手術での切除、腫瘍の焼灼術、血管内からの治療、抗がん剤や分子標的薬による化学療法、エタノール注入療法、放射線治療などがありますが、肝がんの患者さんは、しばしば肝機能が不良なことが多く、その時々での肝機能やがんの状況に応じて治療方針を決定する必要があります。
さらに近年、高齢化社会となり、ご高齢の患者さんが増え、それに伴い合併症を有する方が増加しています。
このため、当院では個々の患者さんのがんの状態や肝機能障害の程度、合併症の有無などを考慮しながら、最良と考えられる治療方法を患者さんに提案し、相談の上、治療方針を決定しています。
また当院の緩和ケアチームとも連携し早期より緩和ケアの導入も行えるように努め、少しでも患者さんの生活の質や活動性を保ちながら治療が継続できるように努めています。
済生会松山病院
当院では内科、外科、放射線科を中心に診断、治療を行っています。また、病状に合わせて、近隣の四国がんセンター、愛媛県立中央病院、松山赤十字病院、愛媛大学医学部附属病院と連携し、より高度な治療がスムースに行えるようにしています。
治療後の新規病変や再発のサーベイランスも行っており、専門治療後の経過観察での通院も可能です。
以前は治療不能であった外科的切除や局所療法が有効でない症例に対しても経口での化学療法が確立されており、当院でも実施しています。
治療と並行して緩和医療も実施しておりますので、是非ご相談ください。
済生会今治病院
日本での肝癌の罹患数は減少傾向にありますが、治療を必要とされる方がいなくなったわけではありません。
当院では引き続き、内科、外科、放射線科が連携して治療を行います。
内科では化学療法、放射線科では放射線治療を、また、内科と外科で適応を相談し、切除可能症例は肝切除を行います。無理な場合は、腹腔鏡下/開腹での外科的RFAにも対応しています。
四国中央病院
肝臓がんの診療は多岐にわたります。肝臓がんの治療としては、肝炎治療、ラジオ波治療、TACE、肝切除、肝移植等があげられますが、当院では肝移植以外はすべて可能です。
また肝臓がんの診断ばかりでなく、肝機能の評価なども肝臓専門医が責任を持って行っています。
肝臓がんの治療はこれまで初見の医師により決定されることが多かったのですが、当院の特徴として、一人一人の患者さんに最適な治療ができるように合同カンファレンスにて治療方針決めています。
また肝臓は血流が豊富でどんな治療も危険な一面を持ち合わせていますが、血管外科の手技も取り入れ、治療に関して決して事故が起こらないように慎重に対応しています。
その結果肝切除の入院死亡もこの5年間はありません。大病院では難しいオーダーメイドの診療も可能ですので、ぜひご相談ください。
済生会西条病院
根治可能な症例に対しては、ラジオ波焼灼術、マイクロ波熱凝固術、肝動脈塞栓術、放射線治療、外科的切除術が施行できます。進行症例に対しては免疫チェックポイント阻害薬やその他分子標的薬による治療、放射線治療も実施できます。
コンバージョン治療など集学的な治療も積極的に行っています。その中でも、当院の一番の特徴はラジオ波焼灼術やマイクロ波熱凝固術などの肝がん局所治療です。県内全域から症例が集まり、年間50例を超える治療を実施しています。ラジオ波治療困難症例と他院で診断された症例に対しても、豊富な経験と高度の技術力により、全国のいかなる施設にも引けを取らないレベルの肝がん局所治療が実施可能であると自負しています。
HITO病院
私たちは、ひとの「いきるを支える」病院として地域に根差した医療を提供しております。
肝硬変の原因となる肝炎ウイルスの原因を排除する内服治療を含めて、肝炎専門外来を設置し、診断から治療まで専門性の高い医療を行っております。病気に対する疑問や、お困り事がありましたら、是非お気軽にご相談ください。
市立宇和島病院
当院は南予地域のがん連携拠点病院であり、肝がんの領域でも質の高い医療の提供を継続しています。
治療法は、手術療法以外にラジオ波焼灼療法(RFA)やエタノール注入療法、肝動脈塞栓療法(TACE)や放射線療法、化学療法(抗がん剤)など多岐にわたりますが、実際の治療現場ではそれらの治療方法を組み合わせることも多く、複雑な治療となります。
当院では最新のCT、MRI機器で病変を正確に評価し、肝臓専門医である内科医と外科医が連携して治療法を検討し、患者さんの身体的、社会的環境などに配慮し、根治性の高い最善の治療法をお示ししています。
外科治療では安全性を考慮しつつ根治性を追求した肝切除(系統的切除)を行う一方で、腹腔鏡を用いた低侵襲手術も積極的に行っています。肝がんは特に再発や背景因子(慢性肝炎・肝硬変など)のチェックを継続していくことが重要であるため、できるだけ近隣の医療機関で治療とフォローを行うことをお勧めしています。