GIST(消化管間質腫瘍)を知る治療

診療の流れ
Q

治療はどのようなことをするのですか?

GISTの治療には、病気の進行具合(ステージ)や腫瘍の大きさ・広がり具合に応じて、さまざまな方法があります。ここでは、一般的な治療方法についてご説明します。

手術

初期のGISTであれば、手術による切除が最もよく行われる治療法です。腫瘍が胃や腸の内側に限られている場合は、腫瘍の部分だけを切除します。手術で腫瘍を完全に取り除くことができれば、その後の追加治療の必要性は、リスクを評価して判断します。
再発の可能性が高いと判断された場合(リスク分類で高リスク)は、手術後に薬物療法を行うことが推奨されています。

薬物療法

手術だけで腫瘍を取り除くのが難しい場合や手術後のリスク分類で高リスクの場合には、「分子標的薬」が使われます。この薬は、GISTの細胞の増殖を抑える働きがあります。代表的な分子標的薬には、イマチニブなどがあります。
詳しくは下記をご覧ください。

経過観察

小さな腫瘍で進行が非常にゆっくりしている場合や、治療の負担が大きい場合には、すぐに治療を始めず、定期的に検査を行いながら経過を観察する方法もあります。このような場合、医師と相談しながら定期的に様子を確認していきます。

ステージ別の治療の組み合わせ
ステージ別の治療の組み合わせ
Q

GISTにはどのような手術の方法がありますか?

GISTの手術には、腫瘍の大きさや場所に応じて、いくつかの方法があります。ここでは、代表的な手術方法をわかりやすくご説明します。

腹腔鏡手術

小さな切り口からカメラや細い器具を腹腔内に入れて腫瘍を取り除く方法です。従来の手術と比べて、体に負担が少なく、傷口が小さく済むため、回復が早いというメリットがあります。GISTの大きさが5cm以下と小さく、手術が比較的簡単な場合に適用されます。最近では、口から入れた内視鏡により消化管の中から、あわせて腹腔鏡により消化管の外からGISTを観察し、切除する範囲を極力最小限にする手術も行われるようになってきています。(腹腔鏡内視鏡合同胃局所切除術・LECS)

開腹手術

腫瘍が大きい場合や、腫瘍が周囲に広がっている場合には、開腹手術を行うことがあります。この方法ではお腹を開けて腫瘍を取り除くため、術中に直接確認しながら丁寧に手術ができますが、体に負担がかかることもあります。


手術方法は、一人ひとりのGISTの大きさ、場所、広がり方などに合わせて決められます。担当医師と相談しながら、ご自身に最も適した手術方法を選んでいきましょう。

Q

GISTにはどのような薬物療法がありますか?

GISTの薬物療法には、GISTの大部分で認められるc-kitと呼ばれる遺伝子の異常を抑え、細胞の増殖を止める分子標的薬が使われます。
手術だけでは治療が難しい場合や、再発を防ぐために使用されます。以下は、GISTの治療によく使われる分子標的薬の説明です。いずれも飲み薬です。

  • イマチニブ
    イマチニブは、GISTに対して最もよく使われる薬です。イマチニブはGISTの原因となる異常遺伝子の働きを抑えて、その成長を防ぐ効果があります。手術後の再発予防にも使われます。
  • スニチニブ
    イマチニブの効果が十分でなくなった場合に使用される薬です。
  • レゴラフェニブ
    イマチニブやスニチニブの効果が十分でなくなった場合の選択肢として使われます。
  • ピミテスピブ
    ピミテスピブは、これまでの薬が効かなくなった場合に使用できる新しい治療薬です。今後も新しい治療薬は開発されていくものと思われます。

これらの薬物には副作用が出ることもあります。たとえば、疲れやすくなったり、皮膚が乾燥したり、手足の痛みを感じたりすることがあります。副作用が出た場合には、医師に相談して適切な対策をとることが大切です。

薬はGISTの状態や治療効果に合わせて調整されるため、医師と定期的に相談しながら治療を進めていきましょう。

Q

治療のための分子標的薬はどれくらい飲み続けるのでしょう?

手術後、再発リスクが高いと分類された場合には、イマチニブを通常3年間服用します。手術で切除できない場合には、副作用が重篤でなく、薬の効果が持続している限り、継続して服用するのが一般的です。
個々の病気の状態によって異なりますので担当医に確認しましょう。


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