みきゃんせんせいの わん ポイント 院内がん登録は、各病院が診療したがんについて、主に初回診療時の情報を記録したものだよ。がん診療の中身を調べたり病院を比較したりするのに役立つんだ。
以下のデータは愛媛県のがん診療連携拠点病院(7施設)・推進病院(8施設)の院内がん登録を独自に集計したものを元にしています。
同じ人が二つのがんにかかっていたら2件登録されたり、複数の病院にかかるとそれぞれ登録されるため『1件が一人』というわけではありませんが、このサイトでは便宜的に1件を一人と標記しています。
施設別診療数 AYA全体
愛媛県 拠点病院・推進病院を2年間(2021-2022年)にAYA世代の方がはじめて診療を受けた数を年代別に病院ごとにグラフで示しています。
- 患者数の合計は右端に示しています。
- 個人情報配慮のため10人以下の場合は範囲で示しています。
施設別 AYA世代 臓器別治療数
各病院のAYA世代 臓器別治療数はこちらをご覧ください。
各病院の取り組み
各施設のAYA世代の診療に関する取り組みです。病院を選ぶ際の参考にして下さい。
四国がんセンター
当院は、妊娠中の方を含め、若い女性のがんについて豊富な経験があり、状況応じた最善の治療を選択できます。
乳腺・子宮だけではなく、白血病・リンパ腫、甲状腺、精巣の腫瘍などについても、患者さんのライフプランに関する希望を踏まえた治療を行います。
子どもをもつ希望があるかどうか確認し、『愛媛県がん・生殖医療ネットワーク』とも連携して治療を進めます。
遺伝的な問題については、遺伝性がん診療科で、専門医や認定遺伝カウンセラーがご相談をお受けします。
さらに、患者さんが治療をうけながら仕事を続けられる支援や、AYA世代の患者さんが集うサロンを開催、治療による外見の変化に対するケアなども行っています。
その他、ご家族全体の総合的なサポートとしてがんの親を持つ子ども達を対象としたイベントなどの開催や臨床心理士による相談対応・支援などを行い、安心・納得して若い世代の方が診療を受けられる体制が出来ています。
愛媛大学医学部附属病院
乳がんを代表として、AYA世代と言われる15~39歳の思春期、若年成人における固形がんの割合も最近増加しています。
AYA世代では結婚、妊娠・出産・子育て、仕事など多くの課題があり、がん治療を行うにあたり特別な配慮と対策が必要です。
乳がんの治療では、抗がん剤、ホルモン療法など薬物を用いることが多く、またしばしば5年から10年と長期間投与となることが特徴で、AYA世代の方の治療を行う際、妊孕性(にんようせい:妊娠しやすさ)の温存が重要な問題となります。
当院では、AYA世代で、妊娠・出産のご希望がある患者さんに対しては、必ず挙児と妊孕性温存のご希望を確認し、産婦人科および愛媛県がん・生殖医療ネットワークとの連携のもと積極的な情報提供等の対応を行い、少しでも患者さんの希望ある未来に繋げることが出来たらと考えております。
また、家族性腫瘍についても多くの患者さんからご質問を受ける事が多くなりました。こちらは臨床遺伝医療部や遺伝カウンセラーと協力し、正確な情報の提供に努めています。
愛媛県立中央病院
当院では、医師・看護師・ソーシャルワーカー・臨床心理士などの多職種で、AYA世代がん患者の支援ワーキンググループを結成しました。
まず当院でのAYA世代がん患者数の実態を調査したところ年間約100人の入院があることがわかりましたので、緩和ケアチームで当院独自の(AYA世代を考慮した)スクリーニングシートを作成しました。
今後入院するAYA世代がん患者さんに対しては、このシートを使用してニーズや要望・意向等を把握する予定です。
また院内関係スタッフは、『妊孕性温存ガイドライン』と『AYA世代がんサポートガイド』を活用し、種々の悩みや相談に応じる体制が出来ています。
また愛媛県のAYA世代対応ネットワーク・妊孕性ネットワークセミナーにも積極的に参加・協力しています。
松山赤十字病院
当院では思春期・若年成人(AYA)がん患者さんへの診療については各専門領域の診療科(泌尿器科、耳鼻咽喉科、血液内科、乳腺外科、婦人科、臨床腫瘍科等)が主体となって治療を行っています。
その中で求められた事例については拡大キャンサーボード(症例検討会)を多職種(医師、看護師、薬剤師、社会福祉士等)で開催しています。
集学的治療の他、緩和医療、療養生活や支援、心理・社会的支援における患者さんの選択肢について討議し、診療科の垣根を越えて患者さんに最も適した治療方針を検討しています。
また現時点においては、AYA世代患者さんのための特別な部署は設けておりませんが、患者さんの身体・こころ・生活などをきめ細かく支えることができるよう努めてまいります。
AYA世代のがん患者さんに対する切れ目のない診療提供体制や、情報提供および支援体制づくりなどの取り組みを目指します。
市立宇和島病院
当院は小児がんの診断は行っているが、小児外科がないことなどから治療は他の病院に依頼している。
したがってAYA世代の症例は限られるが、乳がんは若年にも多く、生殖年齢の女性を対象にすることから妊孕性の問題には悩まされることがある。
愛媛県では、がん拠点病院と生殖医療を行う施設間のより有機的な連携を強化する目的で、平成30年4月1日に「愛媛県がん・生殖医療ネットワーク」が立ち上がっている。
愛媛大学医学部付属病院がコーディネーター施設として機能し、➀がん治療医が、若年がん患者さんに対して適切な施設へ紹介する事、②がん患者さんが、生殖医療や妊孕性に関するカウンセリングや妊孕性温存処置、そしてがん治療終了後の不妊治療を円滑に受けられるようサポートする事、を目的として多職種間で連携して機能している。
当院も妊孕性の問題に対しては産科の先生と相談しながら対応しているが、卵子の保全など当院単独で困難な場合は、愛媛大学医学部附属病院と連携して対応する事は可能である。